ウイルスのエンベロープと抗ウイルス性、不活化のメカニズム
抗ウイルス性の評価の中で、エンベロープ有り、無しという表記を見かける方も多いと思います。
今回は、ウイルスのエンベロープと、そのエンベロープに対する、抗ウイルス性、不活化のメカニズムを開設しまし
ウイルスのエンベロープとは
(新型コロナウイルスイメージ:2020年4/12放送 情熱大陸より)
エンベロープ (envelope)は、英語で封筒の意味もあります。
封筒という言葉のイメージに近いですが、ウイルスを包み込み膜の様なものです。
ウイルスのエンベロープは主に、脂質とタンパク質から構成されています。
ウイルスはもともと、それ自身では増殖は出来ず、必ず宿主となる細胞に感染し、その宿主の細胞システムを乗っ取ることで、増えて行きます。
その宿主となる細胞に入り込む際、エンベロープは補助的な役割を果たします。


エンベロープの脂質とタンパク質と抗ウイルス性の関係
エンベロープのイメージを簡略化すると左の写真のようになります。
飛び出している部分が、脂質
オレンジ色に囲まれている部分がタンパク質です。
ウイルス対策、ウイルスの消毒、不活化には、石鹸が有効とされています。
それは、石鹸が界面活性剤として機能するからです。
界面活性剤は食器用洗剤などにも用いられますが、基本そのメカニズムと一緒で、お皿にこびり付いた油汚れが綺麗に落ちるのは、水と油が、界面活性剤の効果で、混ざりやすくなることで、お皿の油が水に溶けだす(分散する)事で綺麗になります
又、タンパク質と石鹸の反応としては、石鹸は水に触れると、加水分解という反応によって、アルカリ性を示します。
このアルカリ環境下において、タンパク質は変性する傾向があり、タンパク質の元の形状を保てなくなることが多いです。
卵のピータンの作り方というのも、卵を灰や木炭に包んで作るのですが、これも卵のタンパク質のアルカリ変性を利用しています。
同じように、ウイルスのエンベロープのタンパク質も、石鹸のアルカリ性の効果で編成して行くことで、分子同士の結び付きがゆるみ、元の形状が保てなくなると言われています。
ウイルスに対する、抗ウイルス性や、不活化のメカニズムは、主にこういった感じで、ウイルスの他の細胞に取りつく機能を破壊してしまう、不活化することで、得られています。
上記のイメージを、上手く解説している動画があったので紹介します。


抗菌、抗ウイルス 製品の機能
例えば、関西ペイント漆喰(消石灰)タイプ 接触感染対策シート これは、漆喰(消石灰)のもつ、強いアルカリ性の特徴を用いて、抗菌性、抗ウイルス性を得ています。
この系統の抗菌シートとしては、王子グループさんが、「ぬらすと!抗菌シート」というものを開発されていて。
これは、ホタテ貝の貝殻を原料にしていて、対象の水分や、水につけるとアルカリ性になって、抗菌、抗ウイルス効果を得られるという、なかなか面白いアイテムです。
銀や銅の金属イオン
銀イオン、銅イオンを 用いた 抗菌、抗ウイルス アイテムも主流です
これらの効果は、昔から効果があると言われてはいるのですが、そのメカニズムは、厳密にいうと未だ、しっかりと解明はされていません。
幾つかある説の一つとしては、ウイルスが細胞にはいりこむ時に利用する機能に対して(エンベロープに含まれる機能も一緒です。)細胞と反応する前に、金属の陽イオンが入り込むことで、不活状態、細胞と反応できない状態にするからだと言われています。
アルコール(エタノール)の抗菌、抗ウイルス機能
エタノールの抗菌、抗ウイルス効果も有名ですが、これも厳密なメカニズムは、まだ明らかになっていない様です。
ただ、タンパク質を変性させる効果は認められているので、消毒、殺菌剤として用いられています。
エタノールの場合、濃度によって効き目が異なったり、また、ノロウイルスの様な、エンベロープを持たないウイルスなどには、効果が弱いとも言われています。
